 桔梗紋 |
桔梗を図案化したもの。桔梗は藍色の
美しい花を咲かせるキキョウ科の植物で
秋の七草の一つとして数えられる。また
『神農本草経』にある漢方薬の主剤の一
つとしても知られる。桔梗の五弁の美麗
な形を紋章としたものであるが、美濃の
土岐氏のように、桔梗の花を冑にはさん
で戦った逸聞もある。そして、戦勝を得
たところから、家紋に用いたという。は
じめて桔梗紋が史料に登場するのは、
『太平記』の合戦の中で、「土岐の桔梗一
族、水色の旗をさして」の記述がみえ
る。また、足利義満の後陣の随兵、土岐
美濃守頼益も直垂に桔梗紋をつけていた
と、『相国寺塔供養記』に記されている。
これらのことから、土岐氏の代表家紋と
なっている。また、同族の明智光秀は水
色の桔梗紋を用いていた。これが主君織
田信長の激怒をかい、本能寺の変(天正
十年=一五八二)の遠因となったという
逸話もある。その後、この紋は美濃の出
といわれる加藤清正らも用い、全国に広がった。
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