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王城鎮護・大将軍神社
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桓武天皇の平安遷都の始め、王城(京都)鎮護を目的に、京の四隅に『大将軍』を祀った。

北方
今宮神社境内大将軍社
西賀茂大将軍
 
西方
大将軍八神社
東方
東三条大将軍
 
南方
藤森神社境内大将軍社

『和漢三才図会』には、「大将軍社」がこう記されている。

大将軍杜 四ヵ所にある。
 東〔岡崎(左京区)にある〕
 西〔紙屋川(上京区)〕
 北〔紫野大徳寺の門前(北区)〕
 南〔今は所在が分からない〕

 桓武天皇は平安域の四方に将軍塚を築き、王城の鎮護とされた。各々祭る神に異説がある。西京一条の西、大将軍町(現上京区一条通御前通西入)に大将軍杜があり、現在の祭神は素盞嗚尊五男三女の神と、聖武・桓武両帝である。元は西方の社で星を祭ったという。

現在のものとは、それぞれが異なっている、あるいは移動しているようだ。
「岡崎」大将軍は現存しない、現在は、東三条にある。
西「紙屋川」「大将軍町」のものが大将軍八神社だろう。
「紫野大徳寺の門前」は今宮神社に移されている。また、角社にも大将軍神社が存在する。
は当時不明となっているが、現在は藤森神社境内にある。今の京都ならわかるが、王城(平安時代)を守るにはちょっと遠い。

 「大将軍」とは、陰陽道でいう方位の吉凶を司る八神の一である。
大歳神(だいさいじん)歳星(木星)
大将軍(だいしょうぐん)太白星(金星)
大陰神(だいおんじん)大歳神の妃、鎮星(土星)
歳刑神(さいぎょうしん)辰星(水星)
歳破神(さいはしん)大陰神とおなじ土星
歳殺神(さいさつしん)大将軍と同じ金星
黄幡神(おおばんしん)羅ごう星
豹尾神(ひょうびしん)計都星(彗星)

方位を司る「大将軍」は、素盞鳴尊と同一視されている。同じく『和漢三才図会』の以下の記事にある。

八将神の方位  ある説に、「天竺の北に九相という国があり、その国に吉詳という園がある。その園中に王がいて牛頭天王という〔またの名は武荅天神〕、沙謁羅竜王の女〔頗利才女(はりさいじょ)という。今は歳徳(としとく)神という〕を娶って后とし、八王子を生んだ」という。
 一は大(太)歳神〔たいさい・惣光天王〕
 二は大将軍〔だいしょうぐん・魔王天王〕
 三は大(太)陰神〔たいおん・倶摩羅天王〕
 四は歳刑神〔さいきょう・得達神天王〕
 五は歳破神〔さいは・良待天王〕
 六は歳殺神〔さいさつ・待神相天王〕
 七は黄幡神〔おうばく・宅神相天王〕
 八は豹尾神〔ひょうび・蛇毒鬼神〕

「牛頭天王」は八坂祇園社の祭神であり、素盞鳴尊とされている。素盞鳴尊も八王子をもうけている。だとすると、素盞鳴尊の御子に相当すると思える。
「蘇民将来」で有名な、牛頭天王の八王子は、以下の通り。
相光天王 そうこう 春三月の役神
宅相神天王 たくそうしん 夏三月の役神
倶魔羅天王 くまら 秋三月の役神
徳達神天王 とくたつしん 冬三月の役神
魔王天王 まおう 四方を司る役神
羅侍天王 らじゅ 十二支を司る役神
達尼漢天王 たつにかん 八専を司る役神
侍相神天王 じゅそうしん 四季の土用を司る役神
「大将軍」=「魔王天王」=四方を司る役神となる。
ちなみに、素盞鳴尊の八王子は、以下の通り。

八島士奴美命、
五十猛命、大屋津比売命、抓津比売命、 大歳神、宇迦之御魂神
大屋毘古命、須勢理比売命
もちろん、異説はあるが、この中で、素盞鳴尊以外に大将軍(魔王天皇)になり得るのはだれだろう。

ここで、大将軍神社のほとんどは、大将軍=素盞鳴尊としているが、ただ一社、西賀茂大将軍では磐長姫命を主祭神としている。
磐長姫命は大山祇命の娘神であり、木花之佐久夜比売命の姉である。また、大山祇命には、木花之佐久夜比売命に対する娘神木花知流比売命がいるが、この木花知流比売命は八島士奴美命の后となる。
八島士奴美は「八島知主」の意味で、大八洲をすべて知る神であり、四方を司る役神としての資格は十分だ。

がしかし、西賀茂大将軍鎮座地の角社、西賀茂大将軍境内末社にその角社があり祭神はやはり素盞鳴尊だ。素盞鳴尊を祀る角社と、瓦屋の神・磐長姫命が合祀された状態が西賀茂大将軍で、大将軍としての本来の祭神はやはり素盞鳴尊の方が妥当だろう。

話が逸れたが、方位を司る大将軍が、疫除け神である牛頭天王・素盞鳴尊と結びつき、王城鎮護に利用されたものだろう。
平安遷都には四神相応など陰陽道の影響が強い。大将軍は、ある種の「結界」である。ならば、所在不明や勝手な移動は、その効力を失うことになるのだが。



【 王城鎮護・大将軍神社:玄松子の雑記帳 】

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