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不動明王 |
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不動明王
ふどうみょうおう
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ふどうみょうおう
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- 仏教に敵対するものを排除し、真言の威力を体現する仏。
- 不動明王の護摩法は、凡俗すぺてのことに効果があるが、
特に怨敵調伏、勝負必勝立身出世、商売繁盛に霊験あらたかであるとされている。
また千葉の成田山の、板に焼き印を押したお守りは、肌身につけていれば、何かあったときに身代わりに割れるという。
- 不動明王は、インドでは「アチヤラナータ」といい、インド神話におけるシヴァ神の異名がそのまま仏教に取り入れられたものである。
それが不動あるいは無動と訳されたのだ。密教においては常住金剛とも呼ばれる。
- 明王という語は、如来の教えを守り、仏教に敵対する神々や人々を罰し随順させる動きが、
王者が国の定めた法令を守らぬ者に処罰をあたえるのと同じことからきている。
また明王の明は、明呪すなわち真言を意味する。密教においては、真言を唱えることの威力は絶大で、
その恩恵ははかりしれないとされている。真言の力そのものを体現した仏を明王という。
- 明王の代表的なものに、五大明王(不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王)、
それに無能勝明王、大輪明王、歩擲明王を加えた八大明王がある。
その他有名な明王としては、孔雀明王、太元帥明王、烏枢沙摩明王、愛染明王などがある。
- 大乗仏教成立の末期から不動明王を説き出す経典が多くなり、
七世紀後半に仏教の守護神として最高の存在であると説く「大日経」が成立することによって、
不動明王は五大明王の主尊としての地位を確立した。
- 不動明王は悪を罰するだけでなく、修行者を加護し、修行の効を違成させる慈悲の存在とも伝えられる。
そうしたことからか、荒行中の荒行とされる天台宗の千日回峰行では、必ず不動明王の真言を唱える。
日本固有の山岳信仰と密教が結びついた厳しい修行を行う修験道においても、もっとも尊崇されているのは不動明王である。
- 不動明王の霊験は多い。高野山南院の不動明王像は弘法大師が中国で作ったものだが、
帰国する途中で海が荒れたため像に祈念すると、像が命あるもののように動き出し、
波を切る動作をして波を静めたという。
また、厳寒の那智の滝で荒行し、2度命を落としかけた文覚上人が、不動の加護によって助けられた話が「平安物語」に記されている。
十三世紀、元が日本に来襲した折には、外敵退散の祈願が、不動明王に対して行われた。
その霊験あってか、敵を追い返すことができ、国家を守る仏としての信仰を広めた。
- 修験者や戦前の霊術家たちが、「金縛りの法」といつて、
人や害をなす霊などを身動きできなくした術も、不動明王のカとされている。
- 関東では、不動明王に対する信仰がとくにさかんで、日野の高幡不動、成田山新勝寺の成田不動などが有名である。
江戸を守る意味で造営された目青、目赤、自白、自黒、目黄不動などは現在でも目白、日黒という地名として残っている。
- 不動明王は、激しく燃え上がる大火炎を背後に、らんらんと眼を光らせ、右手に降魔の剣、
左手に綱を持ち、矜羯羅、制迦の二童子を始めとして、八大童子などの使者を従える。
背後の猛炎は迦楼羅炎と呼ばれ、迦楼羅鳥の口から吐き出す火炎である。
そのため、災の形が鳥のくちばしのように作られた像も見られる。
−参考文献 学研 密教の本−
【 不動明王:玄松子の祭神記 】