丸に一つ引 |
丸に二つ引 |
丸に三つ引 |
入り山形に 丸に三つ引 |
丸の内に 竪三つ引 |
木瓜に引 |
丸に一つ引 |
山に丸三 |
軍陣用の五段の布を横に縫い合わせ、それを黒・紺・赤・紫・黄などに染めわけ、大将の所在を示したもので、のち円形に切って取り出したものを引両と呼んだ。
引両とは、水平に描かれた横筋をさしているが、その用字は引領、引料、引竜などがあって一定していない。しかし、古来は、両は竜であって、起源は、中国の周易から出ていると考えられている。易の八卦中、乾に当たるものは、横に一線を描いて竜に擬したという。
それゆえ、元弘年間(一三三一)に赤松円心が、合戦には大竜をもってすべしとのご託宣を受けて、巴の旗紋に二つ引両を描いて出撃し、大勝を得たという逸話も残っている。このように、戦さの陣幕や旗幟の文様であったものが転じて家紋となった。
種類は比較的少なく引両の数によって、一個の場合は、一つ引面(大中黒)といい、二個の場合は、二つ引両、以下三、四、六、七つ引両。他の紋を添えたもの(違い鷹の羽、杏葉、巴、木瓜)がある。『平家物語』『源平盛衰記』のなかに、母衣や手綱、楯などに引両が見られる。家紋として新田氏(一つ引両)、足利氏(二つ引両)などが用いている。
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