陰酢漿草 |
丸に片喰 |
剣片喰 |
二重亀甲に酢漿草 |
若狭剣片喰 |
丸に剣片喰 |
二重亀甲に剣片喰 |
蔓酢漿草 |
剣片喰 |
酢漿草の花・葉を象った紋が主で、流
水・水輪をあらわしたものもある。酢漿
草は別名を鳩酸草ともいう。カタバミ科
の植物で、クローバーに似た多年生草本
である。優雅な形が好まれて、平安・鎌
倉時代に文様となり、車文として用いら
れていた。紋章としては、『太平記』
(一三六八〜一三七五年頃)に新田義貞の
軍中に、この紋を用いた者があったと記
録されているところから、南北朝時代の
頃から用いられるようになったものとい
う。
『見聞諸家紋』によると、肥田氏・中沢
氏・多賀氏・赤田氏・長曾我部氏らの家
紋といわれ、剣酢漿草紋は酒井氏の代表
家紋である。また『関東幕注文』には、
上泉、大胡、妹尾、田山、河田などの諸
氏が、それぞれ家門にしたとある。さら
に、『阿波古城諸将記』を見ると、助仁、
竹内、荒神、安芸、福良氏などを挙げて
いるので、東国にも関西にも広く用いら
れていたことがわかる。宇喜多直家も、
鶴亀紋とともに、これを家紋に用いてい
た。
江戸時代には、公家で、御子左の冷泉
家・藤谷家・入江家・花山院家の大炊
御門などが用いている。大名では、酒井
氏一門をはじめ、森川氏・藤堂氏ら百六
十余家がこの紋を用いた。
酢漿草は、桐についで植物紋のなか
ではもっとも流行した紋であるが、これ
は形状が簡素で、優美なためである。三
葉片のものが基本形(三つ葉酢漿草)であ
るが、葉の数は一葉から五葉まであり、
数珠を組み合わせた三つ酢漿草。五つ酢
漿草、七つ酢漿草もある。葉と実とも用
いたもの、他の紋と組み合わせた剣酢漿
草、酢漿草桐、浮線酢漿草など、種類も
多い。
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