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式内社 信濃國諏方郡 南方刀美神社2座 名神大 信濃國一宮 旧官幣大社 御祭神 八坂刀賣神 (本地 千手観音) 御左口神(御社宮司神) 『諸神勧請段』『年内神事次第旧記』 |
諏訪湖の南、茅野駅の西にある。道路から階段を上ると
鳥居があり、その奥200m、畑の中にある森に鎮座している。
参拝時には朝霧が立ち込め、森の中の社殿は非常に幻想的だった。
参拝中に霧がはれ、日差しも出てきて、
美しく紅葉した周囲の山並みが姿を現す。
社殿の森の左手には小川が流れ、冷気に湯気をあげている。
諏訪大社は、上社・下社に分かれており、本来、
上社に建御名方神、下社に八坂刀賣神を祀っているようだ。
上社と下社では、奉祀する神職の長が
上社では神別(祭神の子孫)、
下社では皇別(皇族の子孫)とされている。
上社には御神体はなく、神別の大祝(おおほうり)、
すなわち人間を神とする。八歳の童男をもって、大祝とし祀る。
大祝は職にある間、清浄を旨とし、郡外へ出ることも禁じられる。
前宮祭神をミシャグジ神とする説もある。ミシャグジとは
木や石に降り着く精霊・霊魂で、人にもつくらしい。
あるいは、大祝をミシャグジ神としたのかもしれない。
前宮は、この大祝の住居神殿(ごうどの)があった場所。
鳥居横の十間廊で、上社神事のほとんどが行われる。
上社の神事として、特徴的なものに、六年に一度の御柱祭と
蛙狩神事・御頭祭がある。往古、御頭祭は、前宮十間廊に
七十五頭の鹿の頭を供えたという、血生臭い神事で、
中に一頭、かならず耳が裂けた鹿がおり、
高野の耳裂鹿と呼ばれた。
『神道集』に、諏訪明神の本地として、甲賀三郎の話がある。
安寧天皇五代孫、甲賀の地頭、甲賀諏胤(よりたね)には、三人の子があった。
長男甲賀太郎諏致(よりむね)、次男甲賀次郎諏任(よりただ)、
三男甲賀三郎諏方(よりかた)であるが、その遺言により惣領は三郎へ。
惣領となった三郎は、大和の春日姫を后とするが、春日姫は天狗にさらわれる。
春日姫を求めて、諸国を探し、信州蓼科山で、不思議な洞窟を見つける。
部下達に藤蔓を持たせ、単身、洞窟へ入り、春日姫を発見。
無事連れ戻す。ところが、春日姫が大事な鏡を忘れて来たので
三郎は再び洞窟へ戻る。
ここで、穴の上にいた兄次郎は、三郎を妬み、春日姫に横恋慕。
藤蔓を切り、甲賀へ戻ってしまう。甲賀に戻った次郎は
春日姫に迫るが、春日姫は拒否して、三笠山へ閉じ篭る。
一方、甲賀三郎は、洞窟の中を彷徨い歩く。
この洞窟は、異界との通路になっており、色々な国が存在する。
三郎は、異界の諸国七十二国を歴訪し、好美翁の治める維縵国に辿り着く。
維縵国では、狩りが重要な仕事であったが、
好美翁の娘、維摩姫と結婚し、幸せに十数年の時を過ごす。
しかし、ある時、春日姫を思い出し、帰国を決意する。
好美翁は、帰路に待ち受ける様々な災難に備え、
数々の道具を渡す。脛あて・投鎌・梶の葉の直垂など、
これらの道具が、今日の諏訪大社神事の重要な役割を果たすことになる。
三郎は千日間歩き続け、無事に信濃浅間嶽に出る。
甲賀へ戻った三郎が、父を供養した釈迦堂で休んでいると、
子供たちが「大きな蛇がいる」と騒ぐ。
甲賀三郎は、蛇の姿になっていたのだ。
夜、釈迦堂の下に潜んでいると、十数人の僧が集まり、
蛇になった者が人間に戻る方法を語る。
僧たちは、各地の権現・明神たちであった。
人間に戻った三郎は、三笠山へ春日姫を迎えに行き、
中国へ渡って、神道の法を極める。
その後、日本へ戻り、信濃の諏訪明神となった。
兄次郎もその罪を悔い改め、明神となる。
父は赤山大明神、母は日光権現、長男は示現大明神、次男は田中明神。
甲賀三郎は上社に、春日姫は下社に降臨する。
あとを追って来た、維摩姫は浅間山に降臨する。