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佐香神社
さかじんじゃ
島根県出雲市小境町108
佐香川の清き流れを汲む人は 世にもまれなる酒醸すらん
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島根県出雲市(旧平田市)にある。
宍道湖の北岸、小堺町。
一畑口駅の北1Kmの場所にある。
宍道湖から北上する道から、西へ長い参道が続き、
途中には、大きな一ノ鳥居。扁額には「松尾神社」。
丘の麓の鳥居をくぐると、木々の茂った参道の階段。
その階段を登ると境内があり、正面に社殿。
鳥居の扁額には「佐香神社」と刻まれている。
以上のように、当社は佐香神社とも松尾神社とも称されている。
創祀年代は不詳。
出雲国風土記記載の「佐加社」。
「佐香郷、郡家正東四里一百六十歩。
佐香河内 百八十神等集坐。御厨立給而、令レ醸レ酒給之。
即百八十日喜讌解散坐。故云二佐香一。」
主祭神の久斯之神は、少名彦神のこと。
薬の神だが、酒の神でもある。
配祀の大山咋命も同様に、酒の神。
出雲国風土記にあるように、当社は酒の神を祀った神社なのだ。
そのため、古代には、佐香(さか)神社といい、
鎮座地名も、小酒井から、現在の小堺へと変化した。
後、京都松尾大社から大山咋命を勧請し、
現在は、一般には松尾神社という。
当社は酒造の許可があるようで、濁酒祭という特殊神事では、
酒造関係者が祈願の濁酒奉納式が行われる。
境内社には、稲荷神社がある。
他にも、小祠が幾つか並んでいる。
種痘神社・寶殿神社・武内神社・疫神社。
参道の大鳥居 |
境内入口 | 参道の鳥居 |
鳥居扁額 | 参道階段 |
社殿 |
社殿 |
本殿 | 境内から参道 |
稲荷社 | 疫社、武内社、寶殿社、種痘社 |
松尾神社(佐香神社)御由緒略記
現在、当神社が鎮座されている小境は、出雲国風土記の「佐香」が転訛して、「古佐香井・ 古酒井・古酒恵・濃酒井」となったものといわれている。 主祭神の「久斯之神」は、いわゆる、「薬師の神」であり、さらに、出雲国風土記の古事 にあるように、「酒造の神」でもある。また、「醸す」とは、ただに、酒を醸造することの みでなく、醤油・米酢・味噌等を醸造することでもある。 一方、大山咋命は、世に言う「山を護る神様」で、森林業、鉱山業の守護神である。 そして、配祀神である天津彦彦火瓊瓊杵尊は、「海を護る神様」で、漁撈豊漁の神である とともに、海上運航安全の神として広くあがめまつられている。 木花咲耶姫之命は、縁結びの神であり、安産の神である。 社殿の造営には、古来より、国造・国主の命によってなされており、国造・国主はもちろ んのこと、藩主松平公ならびに、巡見使等、ことのほか崇敬されていた。これは、現在、社 宝とされている鎧一領および文箱一式が、松平家より奉納されていることでもうかがわれる。 十月十三日は秋季大祭である。この日を前後して、翌年二月ごろまで、酒造りの「杜氏」 ならびに、各種醸造の関係者の参拝はあとを絶たない。しかも中国五県は言うに及ばず、遠 く四国・九州・神戸の灘地域からも参詣され、御霊験はますますあらたかである。 明治二十九年十一月十九日付、勅令第二百八十七号酒造税法施行規則第四十五条に依り、 「濁酒年一石以下無税」の許可を得て今日にいたり、大祭当日は、一般参拝者一同、この御 神酒を戴いて、家内安全、五穀豊穣を祈るのである。 佐香川の清き流れを汲む人は 世にもまれなる酒醸すらん(千家尊紀) 千代八千代神世ながらに佐香の山 ふるきみ山を仰ぐ尊さ(北島全孝) −神社由緒書きより− |
【 佐香神社 松尾神社 (出雲市) 】