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荒田神社
あらたじんじゃ
和歌山県岩出市森237
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式内社 紀伊國那賀郡 荒田神社二座 |
和歌山県岩出市にある。
根来寺の南1.5Kmほどの町の中。
社前に民家が迫り、神社としての雰囲気は少ない。
空き地・広場の奥に社殿がある感じだった。
社殿の造りは大きく、立派なのだが、かなり荒れて傷んでいる。
鳥居は石造りだが、補強されているところをみると、これも危ないのか。
創祀年代は不詳。
式内社・荒田神社に比定されている古社。
祭神は高魂命と五世孫の劔根命で
荒田直の租神を祀る神社と考えられている。
「荒田」という名は、天照大神の荒魂の意味であり、
廣田神社と同神とする説があり、祭神もそのように考えられる場合がある。
また、応神天皇皇女荒田皇女を祀るという説もあり、確定できない。
『紀伊続風土記』『名所図会』では、「和泉国大鳥郡陶荒田神社」と同神としているが、
この地に陶器生産に関する由来はない。
かっては、森、堀口、川尻、今中、西坂本、押川六ケ村の産土神であり、
庄中の末社百二十四社という大社であったという。
明治六年四月村社に列し、明治四十一年四月、山王神社・八王子神社を合祀した。
三間流れ造の社殿は、堂々として立派だ。
傷みが酷く、もったいない。
瑞垣内本殿右に、末社が一つある。形式としては数社の合祀。
『和歌山県神社明細帳』には、境内神社として、
丹生神社(丹生都比賣命)、八坂神社(素盞嗚尊)、九社神社(底綿津見命他)、
愛宕神社(香具都智命)、稲荷神社(倉稲魂命)があげられている。
『和歌山県神社誌』には、境内社は丹生神社と八坂神社となっている。
鳥居 | 境内 |
拝殿 | 本殿 |
本殿 |
境内の末社 | 本殿 | 本殿右の末社 |
祭神高魂命は即ち高御産巣日神(古事記)であっ
て、劔根命はその五世孫にあたり、その子孫に葛城直があ
り、荒田直もその一族であって、「劔根命之後」である。 『名所図会』によれば、当社は「荒田の直が祖高魂命、お よび劔根命」を祀ったことになる。葛城直といえば、「九 州日田の豪族として、神武天皇の東征に従」(『姓氏家系大 辞典』)ったと考えられ、おそらくは紀伊国とも無縁ではな かったろうし、荒田別は、紀伊国荒河戸畔の女を母にもつ 豊城入彦命(崇神天皇紀)四世の孫であって、鹿我別らと共 に、神功摂政四十九年(三六九)には、卓淳国に渡り、新羅 国を破った(神功皇后紀)武将たちであって、紀氏を代表す る紀水軍とも関係深かったと思われるし、更に摂社に「丹 生都比賣神」を祀っていることなどよりして、古代紀伊国 とも縁故深く、この地に祀られたものと考えられ、地方豪 族の尊信も高かったことと思われるが、これを證する資料 はない。 −『式内社調査報告』− |