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門僕神社
かどふさじんじゃ
奈良県宇陀郡曽爾村今井733
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式内社 大和國宇陀郡 門僕神社 鍬靫 |
奈良県の曽爾村にある。
青蓮寺川の側、曽爾村役場からも近い、今井に鎮座。
車道の北側に境内があり、境内入口は南西向き。
参道入口に赤い両部鳥居が立ち、
参道や境内には、杉の巨木が林立。
静かな古社の趣のある神社。
参道の階段を上ると、境内。
社殿は、(正確には調べていないが)南東向き。
階段をのぼり、拝殿の後方をのぞくと、
垣に囲まれて神明造の本殿。
本殿の左右に、境内社が一つずつ。
拝殿前の石段に腰を下ろして、ボーっとしていたら、
足元に猫が絡み付いてきた。
どうやら、境内に住み着いている猫のようで、
なにやら催促している様子だが、
何も持っていないのだよ。残念。
創祀年代・由緒は不詳。
式内社・門僕神社に比定されている神社。
通称、春日さんと呼ばれているようで、
現在の祭神も、春日系の祭神達。
一説には、火闌芹命を祀る神社であるとされ、
宮中警護の任にあった隼人(門部)の祖神を祀ると考えられている。
例祭には、神饌として、頭甲「すこ」と呼ばれる人形を供されるが、
昔は、白羽の矢が立った家の娘を人身御供として
生贄が行われた神事の名残りらしい。
それを思うと、古い杜も、ちょっと怖い。
鳥居 | 参道 |
社殿 |
拝殿 | 本殿 |
本殿左の境内社 | 本殿 | 右の境内社と木 |
延喜式神名帳に、当社は鍫靫を賜った社であると記されている。
参道の案内板には、
「鍫靫を奉納すとあり今にその先金を伝承する古社」
と書かれている。
この「その先金」とは何か、
ちょっと考えてみた。
結論から言えば、それぞれ鍬と靫を意味しているのではなかろうか。
これは『和漢三代図会』所載の鍬の絵だが、
見ようによっては、を逆さにしたものに見えなくもない。
農機具の鍬(すき)の「先金」を表しているような感じ。
次に、靫(ゆぎ)。これは矢(箭)を入れる入れ物で、
人が背負うように作られたもの。
通常は筒状に作られており、「やなぐい」にも似ている。
これは『和漢三才図会』所載の、やなぐいの絵。
口の部分が金属で出来ているものは、に見えなくもないかも。
靫(ゆぎ)を神事に用いるのは、厄除けのため。
本来は、斎木(ゆぎ)を用いて結界を構築するのだが、
同音のため、靫を用いるようになったという。
さらに、鍬(すき)と靫(ゆぎ)を神事に用いることに関して。
天皇の即位の際に執り行われる大嘗祭では、
主基(スキ)殿と悠紀(ユキ)殿とが設営され、
京都以東以南の悠紀地方と、以西以北の主基地方の
両地方の斎田でとれた新穀を献上する。
悠紀と主基が何を意味するのか明確になっていないのだが、
一説には、軍事を表す靫と、農事を表す鍬であるとする。
軍事・農事を掌握統治し、政治・神事の長とする儀式とも思われる。
ということで、「その先金」は、
鍬靫を表したものではないかと思うのだが。
ただし、『式内社調査報告』には、
当社の宝物として、鉄製武器(鏃・鏑矢・鉾尖)と書かれている。
『和漢三才図会』所載の鏃(やじり)の絵。
『和漢三才図会』所載の鏑矢(かぶらや)の絵。
『和漢三才図会』所載の鉾(ほこ)の絵。
こうして並べてみると、「その先金」は、
鉄製武器(鏃・鏑矢・鉾尖)のことかもしれないとも思えてくる。
門僕神社
−参道案内板より− 当社は、宇陀郡曾爾村大字今井の曾爾川の西岸に鎮座しており、主神は天津児屋根命をお祀りしている。 延喜式内社にして神明帳に宇陀郡17座のうちに記載された古社であります。例祭10月10日午前8時より執行され神饌として、柿と餅を串に挿し頭上に鷄頭の花を挿して着飾った乙女の形と犬の舌の形を模した餅等が供えられています、亦獅子舞(県指定無形文化財)が奉納される。 −『平成祭データ』− |